スペイン
イスラムの都、コルドパとグラナダ


 コルドバが一二三六年、キリスト教徒に陥落されてから、イスラム教徒はグラナダに堅固な城砦をつくり、
 そこに華麗なアルハンブラ宮殿を建設した。彼らはここにさらに二世紀半定住したが、一四九二年、包囲
 したイスパニア王に鍵を渡して開城した。最後の王ムハンマド十一世は、名誉ある条約を結び、涙を浮か
 べてこの城を去ったという。八世紀初頭以来、イベリア半島に進出していたイスラム軍は、十五世紀末、ア
 ンダルシアからモロッコに去っていったのである。
 ムスリム(イスラム教徒)最後の拠点グラナダにくらべると、コルドバははるかに豊かな沃野の中にある。
 イスラム軍は七一九年、セビリヤからここに都をうつし、一二三六年、キリスト教徒に占領されるまで、アラ
 ブ政権の都として繁栄した。後ウマイア朝のアブドル・ラフマーン三世の時代(十世紀中頃)には、人口五十
 万、戸数十三万、モスク七百か所、公衆浴場三百軒の大都会だったという。
 ここの大モスクはイスタンブールのアヤ・ソフィアと逆に、モスクの中央に大聖堂が建設されている。



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1  洗練と爛熟のアルハンブラの後宮、ライオンの宮殿。
2  大モスクの中心部に建てられたキリスト教の大聖堂の一部。

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