ヘラートの城砦


 もしシルクロード上でもっとも中世的な町といったら、私は躊躇なくヘラートを推すだろう。 
 
アレキサンドリア以来の伝統のある城砦の下に賑やかなバザールが広がりここにはウ
 ズベク人、ハシュトゥ人、ペルシア人、バルフ人、ハザラ人たちが、それぞれラクダやロ
 バに荷を積んでやってくる。そうした喧騒に身を置いていると、しみじみシルクロードに
 きたなと思われるのである。
 ヘラートはアレキサンダーの東征以来、この地方の要衝だが、ここが世界的に重要な町
 になったのは、チムールの第四子シャー・ルフ(在位一四〇九〜四七年)が首都を置いた
 ためである。彼は城砦を堅固にし、サマルカンドにならって壮麗なモスクを建造した。今
 日ではモスクは崩壊したが、当時の華麗さを物語るミナレットが九本のうち三本残ってい
 る。そのほか古い遺跡としては、シャー・ルフの妻ゴウハル:ソヤド霊廟や詩人ジャーミー
 の墓、東方約五キロにホジャ・アブドゥラ・アンサリの廟がある。


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 ヘラートの城砦は町のほぼ中央にあり、
 その下に商店街が連なり、チャハル・スー
 ク(四つのバザール)もここで開かれる。
 チムール朝のシャー・ルフ時代につくられ
 たミナレット。美しいタイルでおおわれてい
 る。
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