マシャドからシラーズヘ


イランはアフガニスタンと並んで、もっとも中央アジアらしい国である。文字通りシルクロードの文明の 
 十字路だ。この国にアフガニスタンのヘラートから入っていくと、まずマシャドに着く。ここにはシーア
 派の聖者イマム・レザーの廟があり、全中央アジアのシーア派の人々のメッカになっている。このモ
 スクには、かつてはいかなる異教徒も入れぬ聖地だった。その中庭には国境をこえて付近の国々か
 ら集まったシーア派の信者か何十人も何百人も法悦にひたっていた。
 メッカからイラン砂漠を縦断し、タバスを経て南下する道は、かつて十三世紀にマルコ・ポーロがこの
 辺りを通ったルートである。
 この道はヤズドからザグロス山脈をこえて、シラーズに着く。テヘランから飛行機で飛ぶと、ザグロス
 に抱かれるように広がるシラーズの町は、バラの花香る熱砂の中のパラダイスである。町の中には
 さまざまな花が咲き乱れ、ここには多くの詩人が眠っている。


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1  マシャドのイマム・レザーの廟(ゴールデン・モスク)には、各地の熱烈なシーア派信考が参詣する。
2  シラーズのバザールは、イランでも屈指の大バザールだ。世界中のさまざまな物資が集まっている。
3  シラーズ市内にある詩人ハーフィズの墓。四季を通じて美しい花が咲き乱れている。


中央アジアから地中海へ
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