フスタートからカイロヘ


 カイロはエジブトの首都で、アフリカ最大の都市である。この町の創始は六四一年アラブ軍が進出して、
 いまのカイロの南郊にフスタートを建設したことにはじまる。その後イスラム王朝の代わるごとに、町の
 中心は次第に北上し、現在の地に町ができたのは、九六九年、ファテーマ朝にはじまる。
 いまのカイロは新市街と旧市街に分かれ、市の東側の旧市街には三百近いモスクがあり、スーク(バザ
 ール)も賑わっている。とくにイスラム通り(アル・モイッズ通り)は独特の雰囲気をもっている。市の東部か
 ら南部にかけては、かつての城門や城壁が残っている。
 新市街はナイル川東岸のタハリール広場を中心として、商店、外国公館、ホテルなどが立ち並んでいる。
 カイロで一番面白かったのは、一人でイスラム通りを散策した時である。途中で道に迷ってしまったが、
 中年の主婦が言業も分からないのに、熱心に表通りへの道を教えてくれた。どんなに汚れていても、庶民
 の町に危険はまったくなかったのである。


1

2

3
1  旧市街のほぼ中央にあるズワイラ門は、イスラム通りへの入り口だ。ここを入ると両側にはさまざまなモスクが並んでいる。
2  城砦から市街を見おろすと、正面にスルタン・ハサン・モスク、リファイ・モスクなどが見え、遠くに新市街が望まれる。
3  イスラム通りにはさまざまな露店が立つ。鶏を品定めしている主婦。


中央アジアから地中海へ
ソ連 トルキスタン チムール大帝の都サマルカンド ブラハ汗国の王城址 ヒワ汗国の旧都
アフガニスタン 文明の十字路 バーミヤンの谷 聖地マザリシャリフヘ
ガズニ朝の遺跡 ヘラートの城砦 幻の理想郷ヌリスタン
イラン マシャドからシラーズへ アケメネス朝の大宮殿ベルセポリス ナクシュ・イ・ルスタムとパサルガダエ
花の都イスファハン ビストゥンの磨崖碑
トルコ アナトリア高原の遺跡 巨大なロ-マの遺跡エフェソス 欧亜の架け橋イスタンブール 
レバノン バールベックの廃墟とシドンの海の城
エジプト ヘレニズムの古都アレキサンドリア フスタートからカイロヘ カイロ周辺の史蹟
古都テーべの栄華を語るルクソール
チュニジア カルタゴの廃墟と聖地カイラワン
モロッコ 生きた中世都市フェズ  
スペイン イスラムの都、コルドバとグラナダ 難攻不落の要塞トレド
遥かなる西域 南海の仏の道