均整のサンチーと灼熱のカジュラホ
サンチーの塔はデりーの南約七百キロ、ボーパール駅から車で一時間の所にある。ここには大小三つ の塔があるが、第一塔がもっとも有名で、形もよく整っている。塔の周囲には繞道(にょうどう)がつくられ、 玉垣がまわりを囲み、東西南北にそれぞれ島居状の塔門が、この塔門には、仏伝図や本生図の石彫レ リーフがびっしり刻まれている。創建は紀元前三世紀で、その後何回か改修されたが、よく仏塔の基本 的な形を合日まで伝えている。 デカン高原北部の片田舎にあるカジュラホは、十〜十三世紀にチャンデッラ朝の都として栄え、ここに 多くのヒンドゥー教寺院が建立された。カジュラホが世界的に著名なのはここに残る多くの寺院の壁面 に、官能的な群像が彫られていたためである。恐らくそれは性のエクスタシーの瞬間に宇宙と一体化し ようとする、密教哲学的な思想の表現であろう。 |
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