釈尊生誕の地ルンビニー
仏教はインドにはじまり、東アジア各地に広まった。その足跡は大綱では分かっているものの、 細部にわたってはまだはっきりしない点が少なくない。インド、東南アジアにおける踏査は、い わゆる南伝仏教の伝播路を探るためにきわめて重要である。いうまでもなく仏教は、釈尊(しゃ くそん)によってガンジス河中流域でまず開花した。この章では、まずインドにおける仏教の成立 と伝播の跡を探り、ついでパキスタン、スリランカ、ビルマ、タイなどの仏跡を巡礼してみようと思 う。 釈尊はカピラバストゥ城の浄飯王(スッドーダナ)の子として、ルンビニーに生まれた。カピラバス トゥ城はネパール領内の遺跡のほか、近年、インド領にその遺跡とみられるものが発見され、論 議されている。インド領から釈尊銘の舎利鉢が出土したためである。 インドのノーガール駅の北方約三十五キロに、ルンビニー園の遺跡があり、マヤ夫人堂、浴池、 アショー力王石柱、ストゥーパ址などが残存している。 |
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