パキスタン
ガンダーラ仏教美術の故郷タキシラ


 イラン、アフガニスタンが自由に旅行でき る時代には、私はもっはら奥地をめざし、パキスタンは単なる 
 通過地だった。私自身はガンダーラ仏教美術の重要性を認めながら、スワット川流域にもまだ入ってい
 ない。私にとってパキスタンの北部は、まだ未踏査の地域だ。そこでここでは昭和五十三年に立ち寄っ
 たタキシラと、領土的にはアフガニスタンだが、ハッダの紹介をしておこうと思う。
 タキシラは旧首都ラワルヒンディの北西約三十ニキロにある。紀元前六世紀から町がつくられ、四つの
 都市遺跡と多数の仏教寺院址がある。主な遺跡はビール丘、シルカッフ、シルスクに分かれ、それぞれ
 五キロほど離れている。丹念に見て歩くとすぐ一か月位かかりそうである。ハッダ(タハ・ショトール)はジャ
 ララバードの南方約ニキロにあり、多くの仏塔址は屋根でおおわれ、厳重に保管されていた。美しいストゥ
 ッコの出土地として有名である。


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1  タキシラのシルカップ遺跡。広大な市街の遺跡で、仏塔、僧院址、住居址などがある。
2 ジョリアン寺院址仏塔側面の塑像群。頭部は欠損している。
3 タパ・ショトールで新しく発掘された一画。蓮華、魚、怪獣等が壁面に見え、塑像も少し変わっている。
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