壮大な石の芸術エローラ


 エローラはアジャンターと並ふインド宗教美術の宝庫である。ここには全部で三十四の石窟があり、 
 そのうち第一〜十二窟は仏教、第十三〜二十九窟はヒンドゥー教、第三十〜三十四窟はジャイナ
 教の石窟である。それぞれの建造の時代は、仏教が五〜七世紀、ヒンドウー教が八〜九世紀、ジ
 ャイナ教が九〜十世紀以降と推定されている。なかでも第十六窟のカイラーサ寺院は、一つの岩山
 を上から掘り下げながら、巨大な寺院を削り出したもので、完成までに百年以上を要したという。
 カイラーサ山のシバ神を祀るため、ラーシュトラクータ朝のクリシュナ一世の命により、七五七年開塞
 され、本殿、前殿、ナンディ堂、周囲の廻廊からなり、いたる所に彫像や模様が彫りこまれている。
 大きさといい、華麗さといい、人類がつくった最高の石造美術の一つである。


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1  カイラーサ寺院はまわりの山道をたどって一巡できる。本殿の後方から見おろした所。
2  戸外は炎熱地獄だが、ヒンドゥー寺院内は涼しい。一休みするヒンドゥー教徒たち。
南海の仏の道
インド 釈尊生誕の地ルンビニ 釈尊大悟の聖地ブツダガヤ 初転法輪のサルナートとナーランダ
祇園精舎と釈尊入滅の地クシナガラ  均整のサンチーと灼熱のカジュラホ 華麗なアジャンター石窟群
壮大な石の芸術エローラ インド窟院の源流
パキスタン ガンダーラ仏教美術の故郷タキシラ
スリランカ 古代の聖都アヌラーダプラ シギリヤの岩山と古都ポロンナルワ
ビルマ 首都ラングーンを飾る仏塔 山紫水明の古都マンダレー きびしい僧侶の生活
意外に日本と似ているビルマ人の暮らし パガンのバゴダ群
タイ 華やかな「天使たちの都」バンコク アユタヤからタイの東南辺境へ タイの京都、チェンマイ
インドネシア 壮大なる仏跡ボロブドゥル
韓国 日本の原郷、慶州
遥かなる西域 中央アジアから地中海へ