釈尊大悟の聖地ブッダガヤ


 ブッダガヤは釈尊が大悟成道(悟りをひらくこと)された所である。太子ゴータマが六年の苦行を捨て、
 尼連禅河(ナイランジャナー)で水浴し、セナー二村の長者の娘善生(スジャータ)の乳糜(にゅうび)の
 供養を受けた後、まず静観におもむいたのは、前正覚山だった。この山はいまもブッダガヤから見る
 と、尼連禅河の対岸に突こつとそびえている。ところがここで修業中、まもなく大地震が起こり、突如
 空中に、「ブッダガヤの菩提樹下こそ、三世諸仏の成道の地である」という声があった。
 そこで太子は菩提樹下におもむき、悪魔の妨害を退けて正覚を成しとげられたという。
 いま現存する菩提樹は何代目かのもので、樹齢数十年にすぎない。その樹下に金剛宝座があり、そ
 の背後に高さ五十一メートルの根本大塔が立っている。その周囲にはアショー力王の欄楯(石の玉坦)
 の遺跡があり、大塔の北側には観樹経行石がある。さらに周辺には多くのストゥーパがある。
 ブッダガヤの大塔は、その周辺のどこから見ても美しい。そこへ近づくといつも胸が高鳴って、私は思わ
 ず力車(三輪車)から飛びおりて駆け寄ってしまう。この塔の尖端には、人間の迷いをふっ切る力強さがあ
 る。


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1  たそがれのプッダガヤ。夕陽に浮かぶ根本大塔のシルエツト。
2  根本大塔前の金剛宝座には、毎日多くの人が礼拝にやつてくる
南海の仏の道
インド 釈尊生誕の地ルンビニ 釈尊大悟の聖地ブツダガヤ 初転法輪のサルナートとナーランダ
祇園精舎と釈尊入滅の地クシナガラ  均整のサンチーと灼熱のカジュラホ 華麗なアジャンター石窟群
壮大な石の芸術エローラ インド窟院の源流
パキスタン ガンダーラ仏教美術の故郷タキシラ
スリランカ 古代の聖都アヌラーダプラ シギリヤの岩山と古都ポロンナルワ
ビルマ 首都ラングーンを飾る仏塔 山紫水明の古都マンダレー きびしい僧侶の生活
意外に日本と似ているビルマ人の暮らし パガンのバゴダ群
タイ 華やかな「天使たちの都」バンコク アユタヤからタイの東南辺境へ タイの京都、チェンマイ
インドネシア 壮大なる仏跡ボロブドゥル
韓国 日本の原郷、慶州
遥かなる西域 中央アジアから地中海へ