インド窟院の源流


 西インドの大都市ボンベイの周辺には、仏教美術の始源を物語る石窟寺院の遺跡が各地に残されている。
 まずボンベイの東南約百十ニキロ、ロナバーラ付近に、カールラ、バジャーの石窟群がある。力ールラはロナ
 バーラの東方約十キロの高さ百メートルの山上にあり、塔院(チャイティヤ窟)がもっとも完全な形で残ってい
 る。仏塔には木製の傘蓋(さんがい)がそのまま残っている。その南方約六キロにあるバジャーにも馬蹄形の
 断面をもつ塔院がそのま残り、チーク材の梁もそのまま残っている。この窟は奥行十八メートル、幅約六メー
 トル、高さ約六メートルで、奥に高さ約三・.五メートルの仏塔が安置されている。
 ボンベイの北方約四十ニキロの国立公園内にはカンヘリ仏教窟院がある。ここには合計百九の塔院や僧院址
 があり、とくに第三窟は保存状態がよい。


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1  カールラ塔院の入り口。左端が入り口で内部は完全に保たれている。
2  カールラは中央の塔院のまわりに多くの僧院(ビハーラ窟)がある。
3  右端がバジャーの塔院で、中央は僧院の跡。ここにも多数の観光客がやってくる。
4  バジャー塔院の内部。多くのインド人が会食していた。上部にチーク材の梁がみえる。
5  カンヘリ第三窟入り口。両側に高さ六メートルの仏陀が立ち、中央に供養考像が刻まれている。
南海の仏の道
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壮大な石の芸術エローラ インド窟院の源流
パキスタン ガンダーラ仏教美術の故郷タキシラ
スリランカ 古代の聖都アヌラーダプラ シギリヤの岩山と古都ポロンナルワ
ビルマ 首都ラングーンを飾る仏塔 山紫水明の古都マンダレー きびしい僧侶の生活
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タイ 華やかな「天使たちの都」バンコク アユタヤからタイの東南辺境へ タイの京都、チェンマイ
インドネシア 壮大なる仏跡ボロブドゥル
韓国 日本の原郷、慶州
遥かなる西域 中央アジアから地中海へ