舐園精舎と釈尊入滅の地クシナガラ


 サヘト・マヘトは舎衛国の跡で、ここには有名な祇園精舎がある。釈尊は成道後、この地に
 二十五年間止住し、多くの経典を説かれたといわれ、かつてはここに十六の大寺院、十二
 の塔、七十二の講堂、三千六百の僧房があったといわれるが、いまはわずかに煉瓦の基礎
 を残すのみである。
 もっとも、玄奘の『大唐西域記』にも「いますでに荒廃す」とあって、すでに七世紀の頃荒廃し
 ていたという。
 晩年の釈尊はバイシャーリを訪れ、いまのゴラクプールの東方約五十五キロにあるクシナガ
 ラの沙羅双樹の下で入涅槃された。いまその地に涅槃堂が建てられ、内部に伝五世紀の作
 といわれる涅槃仏が安置されている。涅槃堂の東方約一・六キロに如来焚身塔がある。
 その塔に登ってみると、付近に多くの塔や精舎の基礎が見られ、しみじみ「生者必滅、会者
 定離」の教えを感じさせられる。


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1  砥園精舎の廃墟は、るいるいたる煉瓦の基礎が美しい緑に映えて広がっている。
2  クシナガラの涅槃堂。
3  涅槃堂内の如来涅槃像。長さ約九メートル。
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