巨大なローマの遺跡エフェソス

　トルコのエーゲ海岸は、トロイ、ペルガマ、エフェソスなど、多くの遺跡がある。この中でとくにエフエ
　ソスは、キリスト教徒にとって重要な町であった。
　ここは先史時代から港町として栄えたが、紀元前十一世紀頃、アテネ王子アンドロクラスかイオニア
　人を率いてここに移住した。前四世紀アレキサンダー大王が追軍してきた時は、港がカイスター川の
　泥で埋まり、昔日の面影はなかった。アレキサンダーは将軍リシマクスにここの復興を命じ、以後この
　町の繁栄は八百年続いた。そこにはローマ時代の数々の遺跡が今日なお昔日の栄華を物語っている。
　まずキュレットラー道路に入ると、バリウスの浴場、小劇場、ハドリアヌス神殿、遊廓、共同トイレなどが
　あり、正面に巨大なセルサスの図書館が現れる。
　ここから右へ大理石通りが伸び、左にアゴラを見つつ進むと、まもなく大劇場に着く。その前に左へ伸ぴ
　るのは港通りである。この辺りこそ、かつてパウロやヨハネが活躍した所だった。

1	ピイオン山の斜面に二万五千席を有する大劇場。音響効果はなかなかよくできている。
2	大劇場の前からかつての港にむかうアルカディアン通り。ローマ時代の円柱が立ち並んでいる。
3	ハドリアヌスの神殿。泉の神のレリーフのあるアーチの後ろに、蛇の髪をもつメドゥサの彫刻がある。