トルファンは東部天山の南麓にあるオアシスで、太古からのこの地方の要衝。古く車師前国として知られ、
中国人がここに進出してからは高昌とよばれた。東西百二十キロ、南北六十キロの盆地で、中国でもっと
も低く、トルファン南方のアイデン湖は海面下百五十四メートルである。大きなすり鉢の底のようなこの盆
地は、熱の発散が遅く、夏は灼熱の暑さが続き、古くは火州とよばれた。
年間雨量は十六ミリだが、地下水は豊富であり、灌漑水路やカレーズ(地下水路)を使って農耕が盛んで
ある。とくにウリやプドウの産地として名高い。乾燥の烈しいこの地方では、乾燥小屋にふら下げただけで
乾しブドウができあがる。
トルファンの西方十キロに車師前国の交河故城(ヤールホト)があり、東南四十キロに高昌故城(カラホー
ジョ)がある。
高昌故城の北方一キロに高昌国の貴族の墓アスターナがある。この地域の北方には有名な火焔山があ
り、赤い山肌から陽炎がゆらめいている。この火焔山の峡谷にベゼクリク干仏洞がある。
|