盆地の中のオアシス、トルファン

  トルファンは東部天山の南麓にあるオアシスで、太古からのこの地方の要衝。古く車師前国として知られ、
  中国人がここに進出してからは高昌とよばれた。東西百二十キロ、南北六十キロの盆地で、中国でもっと
  も低く、トルファン南方のアイデン湖は海面下百五十四メートルである。大きなすり鉢の底のようなこの盆
  地は、熱の発散が遅く、夏は灼熱の暑さが続き、古くは火州とよばれた。
  年間雨量は十六ミリだが、地下水は豊富であり、灌漑水路やカレーズ(地下水路)を使って農耕が盛んで
  ある。とくにウリやプドウの産地として名高い。乾燥の烈しいこの地方では、乾燥小屋にふら下げただけで
  乾しブドウができあがる。
  トルファンの西方十キロに車師前国の交河故城(ヤールホト)があり、東南四十キロに高昌故城(カラホー
  ジョ)がある。
  高昌故城の北方一キロに高昌国の貴族の墓アスターナがある。この地域の北方には有名な火焔山があ
  り、赤い山肌から陽炎がゆらめいている。この火焔山の峡谷にベゼクリク干仏洞がある。


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1  真夏のトルファン市街は物凄い暑さで、人々は木陰で涼をとる。
2  ウイグル族独特の楽器をもつ通訳のレイムさん。
3  冬のトルファンで、ロバに乗ってきた老農夫。
4  ウイグル人は陽気で歌と踊つが大好きだ。ハミウリをたたえる歌と踊りに與ずる文工団の男女。

遥かなる西域

仏教熱の燃焼雲岡石窟 静謐な微笑をたたえる竜門石窟 栄華をきわめた古都、長安
シルクロードの関門、蘭州 黄河に影映す炳霊寺石窟 河西回廊の要衝、酒泉
西端の砦、嘉峪関 花ひらく敦煌 盆地の中のオアシス、トルファン
漢人が開拓した高昌故城 ベゼクリク千仏洞とアスターナ 天然の要塞、交河故城
ウルムチから天山へ 天山の遊牧の民、カザフ族 西域南道のオアシス、ホータンと民豊(ニヤ)
ニヤ遺址への旅 西陲の地カシュガル
中央アジアから地中海へ
南海の仏の道